'54 STRATOCASTER Sunburst/Maple
SOLD

'54年6月にシカゴで開かれたトレード・ショーにて正式発表された“ストラトキャスター”。 3月頃から6月頃までに間に生産された最初期の100本程度は, トレモロ・スプリング・カバーにシリアル・ナンバーが刻印されていたが (0100番から始まり,今のところ0207番までが確認されている。), ノン・トレモロ仕様に対応するため,また他のモデル (つまり当時に既存モデルであるテレキャスターとプレシジョン・ベース)と共通化する目的で, ネック・ジョイント・プレートへシリアル・ナンバーは刻印されるようになった。
ネック・デイトにTG 9-54(TG=木加工担当者タデオ・ゴメスのイニシャルと54年9月), ボディ・デイトに8/54(トレモロ・スプリング・キャビティ部,54年8月), アッセンブリー・デイトにGloria 8/27/54 (コントロール・キャビティ内に貼られたマスキング・テープに記された電気系アッセンブリー組み込み担当者名, 54年8月27日)を持つこの'54年モデルは,ネック・プレートにシリアル・ナンバーが入っているものの, 本格的な生産が開始される前(10月頃とされている)の比較的初期のモデルと言える。
'54〜'55年製のストラトキャスターのプラスティック・パーツとして 一般に通称“ホワイト・ベークライト(ハード・プラスチック)”が知られているが, 初期に組み込まれたモデル(おそらく100数10本)には, それらとは材質と形状が異なるものが使用されていた。 この'54年モデルは,その過渡期に当たるため, それらがオリジナルとして混在した歴史的にも貴重なものだ。 つまり,ピックアップ・カバー,スイッチ・ノブ,ボリューム・コントロール・ノブは初期型のタイプで, それぞれラウンド・ピックアップ・カバー(肉厚が薄く上部のエッジが丸い), 通称“ラグビー・ボール・ノブ”(以降のものよりも細身), 通称“ショート・スカート・ノブ”(以降のものよりも外周部が小さい)が取り付けられているのだが, ふたつのトーン・ノブだけは通称“ホワイト・ベークライト”パーツとなっているのだ (残念ながら,トレモロ・アームのキャップは交換品)。
ストラトキャスターに使用されるボリュームとトーンのポットは一般に250Kオームだが, '54年の最初期モデルに限っては100Kオームが採用されている。 しかし,この'54年モデルの場合はボリューム・ポットは250Kオーム, ふたつのトーン・ポットは100Kオームとなっており, これも過渡期のためと思われる非常に興味深い仕様だ。
この'54年モデルのボディ材には,1ピースのアッシュが使用されている。 1ピース・ボディは,'55年モデルでならしばしば見られるのだが,'54年製では珍しい。 指板の塗装面に剥げが見られるが,実際にはそれほど使用されていないと思われ, フレット,ナットは充分な高さを残したままオリジナル状態を保っている。

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