'84 STRATOCASTER White/Rose
SOLD

'65年末以降の長い間,ストラトキャスターに採用されていた“ラージ・ヘッド”は '82年前期に“スモール・ヘッド”に仕様変更された。 これはスモール・ヘッド期の'57年と'62年をレプリカした“ビンテージ・ストラトキャスター”が '81年後期に発売予告されたことにより(発売は'82年中期), それに先行する形で,レギュラーのストラトのヘッド形状もスモールに統一したためだ。 その後'83年初頭にはラインナップの全体的な見直しが行われたことで, 正式モデル名“ストラトキャスター”はこの仕様を最後に消滅し, 以降は“スタンダード・ストラトキャスター”が後継機種となっている。
このスモール・ヘッドにCBSロゴを持つモデルは, '82年前期から'83年初頭までの1年程度の短期間に少量しか生産されなかったこともあり, 本国アメリカでは通称“スミス・ストラト”と呼び,貴重なヴィンテージ・ストラト・アイテムとして評価されている。 この通称は,開発を主導した当時のCBSフェンダー副社長“ダン・スミス”の名前に由来している。
なお,このストラトのシリアル・ナンバーは, Eighties('80年代)を意味するEから始まる“E”に続き, '82年の下1桁を表す“2”+5桁のものがヘッドのブランド・ネーム下側に印字されている(通称ヘッド・シリアル)。 このEからのシリアル・ナンバーは,ストラトでは'82年初頭のラージ・ヘッド最後期から使用され始めたものだ。 ストラトの場合は,'82年初頭までは通称“Sシリアル”が使われたため, ほかのモデルのようにE0+5桁やE1+5桁のシリアルは存在しない(THE STRATは除く)。
さて,このスミス・ストラトは,いくつかのレアな仕様を持っている。 まずピックガードだが,通常は白3プライ(白/黒/白)の11点止めタイプが採用されているが(一部には黒3プライも存在する), これには白1プライの8点止めタイプが取り付けられている。 もちろん,余分なネジ穴などはないため,交換されたのではなくオリジナル・パーツと思われる。 また,通常はプラスティック・ボビンにウレタン・ワイヤーのコイルのフラット・ポールピース・ピックアップなのだが, これにはヴィンテージ・スタイルのスタガード・ポールピース・ピックアップが搭載されている。 このピックアップのボビンは,上側が白・下側が赤のファイバーが使用された'82〜'83にかけて生産されたものである。 ポット・デイト(ポットに刻印されている番号で製造メーカー,パーツの製造年と第何週目かがわかる) が'84年を示していることから推測すると,ストックとして残してあったネック類を, その時点で生産されていたのボディ(おそらくヴィンテージ57ストラト用のアルダー材)を使用して, '84年に組み上げたサンプル品あるいは特注品と思われる。
この'84年モデルは,ボディのエッジに塗装剥げが見られるものの, 最上級と言えるほどキレイな外観を保っている。 パーツ類も完璧にオリジナル。ブリッジ・カバーも残っている。 オリジナル・ハードケース(この時期独特の薄めな四角いモールド・ケース)付属。

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